私が初めて沖縄を訪れたのは20代の頃だった。
その時の感想は、「まぁ、こんなもんかな」だった。首里城や国際通りなど、メジャーな観光地を巡って、阿嘉島という素晴らしい島と無人島へも行ったのに、そのくらいの印象しかなかった。
今思えば、もったいない。なんで気づかなかったのか。こんな素晴らしい、美しい場所だってこと。
2度目に訪れたのは2015年の11月初旬。石垣島と西表島に滞在した。3泊4日の旅。一緒に行ったのは1度目に一緒に行った幼馴染の女子。
このとき、私は少し病んでいた。南の静かな国のビーチで何も考えずにぼーっとしたかった。数年前の慰安旅行でハワイへ行ったこともあり、綺麗な海っていいなぁ、波の音を聞いて、空気も綺麗だし・・・という憧れを持ったのがきっかけだったかもしれない。本当は、別の友達に海外の南国へ行こうと誘っていたのだが、なかなか都合が合わず、仕方なく幼馴染を誘って沖縄へ行ったのだった。そう、仕方なく沖縄を選んだのだ。
石垣島ではシュノーケルをした。人生2度目のシュノーケルはまだ怖くて自分で移動はできなかったものの、海の中にいると「無」になれた。その日はあいにく曇っていたが、時折差し込む日差しが水面で、水中で、魚たちがキラキラ光っていた。すごく癒された。
西表島ではアウトドアで楽しんだ。カヤックで川をさかのぼり、ジャングルの中を進んでサンガラの滝で遊んだ。見たこともない植物や生き物を見て感動した。
最終日には竹富島へ行き、サイクリングで綺麗な海を眺め旅の終わりを惜しんだ。
この旅がきっかけだった。言葉の分からない海外まで何時間もかけて行かなくても、日本にもこんな綺麗な海あるんじゃん!ということに気づいた。大阪から那覇まで2時間だし。
私は2016年3月の連休に再び石垣島へと飛んだ。一人で、だ。いちおう幼馴染にも声をかけた。「私、また行くね」と。
生まれて初めての一人旅。ワクワクした。慣れないバスに乗ってみたり、シュノーケルツアーに一人で参加してみたり。この時も天気がいまいちで恐らく本来の海の綺麗さは体験できてはいないだろうけど、なんにもせずにただ波の音を聞きながらビールを呑む、それだけで癒された。
私は一人旅が気に入った。4月には普通に土日の2日間を利用して一人で那覇へと飛んだ。土曜日の昼前に着き、昼からシュノーケルツアー、日曜日に大阪へ帰る。
5月に再び土日の弾丸旅行。初日にシュノーケル、二日目には半日観光タクシーで観光名所を巡った。この時の天気がバツグンに良く、最高の2日間だった。この頃から、国際通り沿いにある居酒屋に通うようになった。一人でも入りやすかったし、店長が関東出身の方で私の話を興味をもって聞いてくれたからだ。私はその店の常連になった。
6月は梅雨の時期でいったん休憩した。
7月、梅雨が明けた情報が入るや否や、連休を利用して渡嘉敷島へと渡った。渡嘉敷の海はバツグンに綺麗だった。天気も最高に味方してくれた。大阪へ帰るとすぐに台風シーズンがやってきた。
8月、会社を辞めて沖縄に住みたいと思い始めていた私は住めそうな場所を探しに下見へ飛んだ。もちろん、シュノーケルもした。突然決めた旅行だったのでツアーの予約が取れずに苦戦していると、行きつけの店長がショップの方を紹介してくださって、最高の海遊びをすることができた。今までで一番きれいなサンゴの群れを見ることが出来た。店長に、沖縄に引っ越してくるかもしれないと話をした。大阪へ帰るとマイシュノーケルセットを購入し、お風呂で練習し、一瞬溺れかけた。
9月は座間味島へ行く予定が台風で行けなくなった。
10月は那覇市内で生活しやすそうな場所を見て回った。なんとなく気分は落ち込んでいた。なぜか。この旅行の前日に「辞める」宣言をしたからだ。とうとう言ってやった。すっきりしたと同時に、とうとう言ってしまったという不安。那覇から阿嘉島へ渡ろうと思って行ったが、風が強く船が戻ってこれなくなるのを懸念して結局ずっと那覇でブラブラした。店長に、「昨日辞めるって言ってきた」と報告した。
今年に入って一人で通算6回も沖縄へ行ったのだ。途中からただの旅行ではなくなっていた。「住む」ことを前提とした見方で街を歩いた。私が周りの人に「沖縄へ引っ越す」と言うと、「えー!いいなぁー!」と言う人が多いが、そんなリゾート感覚で行くつもりはないのだ。住む場所は那覇市内だし、よっぽど高いビルから見れば遠くの方に海がチラっと見える程度。毎日海で遊んで暮らそうなんて思ってもいないし、そんな金銭的余裕もない。普通に仕事をしていかなくては生きていけない。ただ、天気のいい日に思い立ったら、すぐに船に乗って「無」になれる海に入れる。そんなメリットはある。
なんで沖縄だったのか。タイミング、だったんだろうか。あの時たまたま沖縄へ行ったらハマった。もし別の友人と当初の希望で海外へ行っていたら、英語もまともにしゃべれないのにそこに住もうと思ったかもしれない。いや、ないか。さすがに言葉が通じない場所では無理だ。ただ、沖縄の海は私を癒してくれた。
今しか出来ないことを今やらないと後悔する。そう思った。
何年経ったら帰るとか、おばあちゃんになるまでずっと沖縄にいるなどは決めていない。戻りたくなったら戻ればいいし、居たいだけ居ればいいと思っている。
家族には相当な心配をかけることになったが、私の気持ちを理解してくれたことに感謝している。
私が遠い南国の島で元気にやっているかという安否確認はこのブログでしてもらう(笑)